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詩のPage
ルンブール谷
その谷には
水音が響いていた
おそらくとおい昔から
村人の体の中からの響きのように
その谷は
緑あふれるリンゴの季節だった
村中の人がリンゴを食べていた
リンゴの季節の終わるまで
その谷には古くからの神々が
今も生きていた
密かにこの種族の
秘密を守りながら
春、秋、冬の祭りの日
神々は葡萄酒とともに蘇った
その谷では
女は不浄と言われていた
なぜなのかは
みな忘れていた
女たちは子を産み育て
その不浄をもって
人間の不浄を清めていた
それは愛なのだと旅人は思った
その谷の夜は深く
眠る人々の上に
静に星々が輝いていた
夜更けて星が流れた
はかり知れない神秘へと誘うように
いくつも いくつも
星が流れた
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