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​詩のPage

アッパラマーケットの壁に沿って歩いていたら

 

 

ッパラマーケットの壁に沿って
歩いていたら
若い男が聞いた
「どこから来たの? チャイナ? コリア?

私は答えた
「ニホンから」


アッパラマーケットの壁に沿って
歩いていたら
くだもの屋のおやじが
言った
「バナナ買わんかね?」
「じゃあ、バナナひとふさ」
でも私はインゲン豆を買いに来た

夢みて眠っている生命を1キログラム


アッパラマーケットの壁に沿って
歩いていたら
白いパルダの婦人が聞いた
「どこへ行くんだい?」
私は答えた
「遠い昔の遺跡を見に・・・」
この世界から消えつつあるもの・・・・
遠い日々からの人々の声を聞きに・・・・・

アパッラマーケットの壁に沿って
歩いていたら
サトウキビ売りの子供が聞いた
「どこからきたの? チャイナ? コリア?」
「太陽から」と私は答え
「ウソだ ウソだ」と子供は言った


アッパラマーケットの壁に沿って
いていたら
物乞いの老女が言った
「どこへ行くんかね?」
「私は帰るところ
この壁の向こうへ帰ろところ
「どこへ帰るんだい?」
・・・・・・・・


でも、本当に帰る日には
私は宇宙に帰りたい

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